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【ネタバレあり!!注意!!】映画ガンダムSEED FREEDOMを観た感想

以下、「ガンダムSEED FREEDOM」を公開初日に観てきた感想です。
ネ タ バ レ を 多 分 に 含 み ま す 。ご 注 意 く だ さ い 。
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ここをクリックしてネタバレありの感想を表示する ロボットアニメなのでメカが重要なのは言うまでもないですが、新規機体/旧機体ともにデザインが良く、CGを活用した戦闘シーンは迫力満点でした。ところどころ過去のSEED(DESTINY)を想起させる構図もあり、ぜひ劇場のスクリーン・音響で体感してほしい部分です。

旧機体デュエル・バスターを、見た目自体はあまり変えずに内部を核動力に改修して続投したところにとてもロマンを感じます。豪華版パンフレット付属の設定資料集を見て確認したんですが、デュエルを改修した「デュエルブリッツガンダム」ではその名の通りブリッツガンダムの武器「ランサーダート」「グレイプニール」が流用されていたんですね。僕はSEEDシリーズに登場する機体ではブリッツガンダムがダントツで好きなのでとても嬉しいです。

最後にストライクフリーダムガンダム弐式と追加兵装プラウディフェンダーとがドッキングして無双する展開は、ロボットアニメとしてお決まりの展開ではあるんですが…僕含め男の子はやっぱりこういうのが好きなんですよね。

メカの描き方の観点ではほぼ文句なしだったのに対し、人の描き方に関してはいろいろとツッコミどころがあります。

前半のキラの言動を見ているとSEED時代を思い出しました。もともとアスラン・シンといった周りのキャラに比べるとDESTINY時代を経てもあまり成長していないイメージを持っていました。 そして今作前半に至っても、何でもかんでも自分一人で抱え込んだまま、持ち前の戦闘能力を頼りに一人戦場を駆け回るのは変わっていないようでした。ラクスとの関係については、ミーア・キャンベルの件もあってDESTINY後半まで軽い共依存だったように思います。それが本当の愛に変わったことを、そしてその愛は今や能力・必要性を前提として存在するものではないということを、今作で特に描きたかったのだと推察します。

SEED時代と同じようにふさぎ込んでしまったキラの根性を、吹っ切れたアスランが拳で叩き直すというシーンに関してはとても良かったと思います。ラクスに会いたいという本心を吐露させたのもGood。アスランのパンチが全部ヒットしてキラのパンチが全くヒットしてないのはちょっと面白かった()

愛・必要性といったキーワードは、ファウンデーション陣営のキャラたちの言動も含めて何度も出現します。とくに新しい内容の印象的なセリフがあるわけでもなく、少しクドい・説教臭いと感じるほどに。ブラックナイツのアコードたちの出自はラウ・ル・クルーゼレイ・ザ・バレルと似ていて、生まれつき自らの運命を他人に決められていました。ならば本当の愛を知って迷いを捨てたキラが「その命は『君』だ!『彼』じゃない!!」の如く彼らと対話したうえで不殺の精神で「自らの意志で道を選ぶ」方向に導くのが筋だ…と思っていたんですがあっさり改修ストフリの力でねじ伏せていて残念でした。

これらと並行するかたちでアスラン、シン周りの恋愛関係の話も展開しますが、あまりにラブコメじみていてギャグに偏っていたので正直あまり興味を持てませんでした。特に最終戦でシンが思考に介入されそうになったときにステラが現れて化け物のようになるシーンは、DESTINYの悲劇を茶化されているようで到底笑って楽しめるものではありませんでした。加えて本作で愛・必要性云々のメッセージ性を持たせるうえでアグネスというキャラが本当に必要だったのか疑問が残ります。もうちょっと尺をとって丁寧に心の動きを描いていればクェス・パラヤのように印象深いキャラになっていたのかもしれません。

ファウンデーション陣営のキャラの思想を掘り下げる尺が全く足りていないという問題もありますが、これに関しては諸々のファンサービス含めキラたちの活躍を存分に描くための割り切った判断でしょうね。結果として後半がガンダムらしからぬ「勧善懲悪ヒーローもの」になってしまっている感は否めませんが、細かいことは後発のコンテンツで補足するとして、映画館を活かしてド迫力の戦闘シーンを魅せることには成功しています。ここまでだいぶキャラ関連をディスってしまいましたが、僕自身が期待値を上げすぎていたのかもしれません。エンタメとしては申し分ないです。

エンディングテーマ「去り際のロマンティクス」は神曲です。すでに Spotify で鬼リピしています。まどマギでお馴染みの梶浦由記さんが作曲に関わっていて、しかもボーカルはあの 00 の Prototype を歌っていた石川智晶さんが担当されてるので何だか安定感・安心感があります。

まとめると「同窓会・ファンサービス要素モリモリで楽しさ・話題性には溢れる一方、メッセージ性・キャラの掘り下げに関しては物足りなさを感じる作品だった」という感じです。映画.com みたく★5を満点として点数をつけるなら、★3行くか行かないかくらいです。