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アークナイツで中国語の勉強(1)

大陸版アークナイツに登場する文章・セリフを使って中国語の基本的な文法・語彙を学んでみようと思います。

発音の基本

実際に例を上げて文法を分析する前に、最低限発音の仕方をチェックしておきます。 中国語における音は「子音+母音+声調」から成り立っています。子音と母音については英語でも習ったことなので雰囲気はわかると思いますが、声調というやつが中国語学習者にとっての最初の壁になるようです。

発音の表記法としてピンイン "pīnyīn" が使われていて、中国語→日本語の辞書で引くときもピンインを元にした辞書順で探します。 文を書こうとした時にピンイン自体をそのまま書いてしまうとそもそも文として成立しなくなるので、日本語の漢字に対する「ふりがな」とは全くの別物と考えるべきです。 このピンインのなかで、上に声調記号を書き込むことで声調も併せて表現します。

声調は

  • 第1声 "mā" 同じ音の高さで伸ばすだけ
  • 第2声 "má" ⤴ 上がり調子
  • 第3声 "mǎ"「あ〜ぁ(残念)」みたいに、最初は下がり調子で最後にほんの少し上げる
  • 第4声 "mà" カラスの鳴き声「カァー」のように下がり調子
  • 軽声 "ma" 短く音を切る

のように分類でき、子音+母音が共通している単語同士でも声調が違うなら全く異なった意味をもちます。 そして僕らが普段話している日本語よりも、中国語のほうが使う音域が広いらしいです。 広めに音域を使って音の高さを大きく変化させないと声調の聞き分けが難しくなるからでしょうね。 発音練習するときはそういう違いを意識したほうがいいと思います。

参考:

www.youtube.com

続けて母音6種類→子音21種類の順に発音の仕方を確認するといいと思います。個人的に特に難しいと思ったのがそり舌音の発音です。子音 zh, ch, sh, r を発音するときには、日本語では一切やらないような舌の使い方をします。 どれも舌を上のほうに反らせて(?)巻いて(?)音の出方を制御する必要があるんですが、これは下手に言葉だけで説明するより実際の発音を聞きながらのほうがいいと思うので、他の子音とまとめて↓の動画で確認してください…

www.youtube.com

で、第3声(↘↗)の音が2つ連続する場合は、(ピンイン自体は変化しませんが)実際には前者を第2声(⤴)で発音して繋げます。 その実例のひとつが、中国語に関して大体の人が知ってる「ニーハオ」です。"你好"と書きます。ピンインで書くと "nǐ hǎo" で、声調記号からわかる通り第3声が連続します。そのため実際には前者を "nǐ" ではなく "ní" (にー⤴)と発音します。

文法

中国語の文の意味は、その語順に強く依存して決まります。 今回は超基本的な文型「動詞述語文」「形容詞述語文」「"是"構文」を扱います。

動詞述語文

主語S + 動詞Vの語順で、「SがVする」といった意味をもちます。

(ノイルホーン配置時ボイス2)

俺,来 了!
Ān,lái le!

日本語版:「俺、参上!」

中国語においてカンマは区切り・息継ぎを意味します。"俺" が主語"来" が動詞で、このふたつを並べると「俺が来る」という意味になります。そして(多義的ですがここでは)動作が完了したことを示す副詞 "了"がついて最終的に「俺が来た」という意味になります。

英語では過去・現在完了で動詞自体が変化したりしていましたが、中国語では動詞の形は時制の影響されず、周りに付ける副詞等の語で時間の意味を補っていく仕組みになっています。ここはシンプルで学習者としては助かりますね。

形容詞述語文

主語 + 形容詞の語順で、主語の状態を説明する文となります。

(ハイビスカス配置時ボイス2)

这里 很 安全!
Zhèlǐ hěn ānquán!

日本語版:「ここは安全です!」

  • 这里:「ここ」
  • 安全:形容詞「安全である」

副詞 "很" が挟まっていますが、これの扱いがちょいとややこしいです。

「とても」と訳すか、そもそも訳さない かの2択になります。

形容詞述語文かつ肯定の場合は、形容詞の前に程度をあらわす副詞を置くことが多いです。 置いていない場合は、「他よりは〜」という比較の意味合いが生じます。

"很“ も程度をあらわす副詞のひとつではありますが、多くの場合は(特に1文字の形容詞の前に置いて)文を整え比較の意味合いを無くすための飾りです。その場合訳しません。 程度が大きいことをあらわす副詞は "非常 fēicháng", "挺 tǐng" など他にもあり、それを "很" の代わりに使うこともあります。

ただし話し言葉で "很” を強く発音している場合は「とても」の意味が現れているといえます。

この例はセリフで、音声を実際に聞いてみても強く発音しているかどうかは正直微妙でしたが、戦場において「ここは安全です!」と医療オペレータであるハイビスカスが言っているのであれば「他は危険地域だがここなら私がいるから比較的安全」という文脈があるでしょう。そのうえ形容詞 "安全 ānquán" は1文字形容詞ではないので、ここでの "很” は「比較の意味を無くす役割」ではなく程度が大きいことを示す「とても」の意味だと思います。

"是" 構文

A + "是" + B の語順で「A は B である」、A = B を表します。英語の be 動詞っぽいですね。

(先鋒リード作戦中ボイス2)

※ 大陸版アカウントでは先鋒リードお迎えできてないのでスクショ無しです…

我 就 是 深池。
Wǒ jiù shì shēnchí。

日本語版:「私がダブリンだ。」

  • 我:「私」
  • 就:肯定を強める副詞「ほかでもなく」
  • 深池:直訳では「深い池」だがアークナイツでは「ダブリン」を意味する

「我 是 深池」で私 = ダブリンを表せますが、副詞「就」が強い意志を感じさせます。

この調子で、今後も大陸版アークナイツの文章やセリフを借りてきて文法を分析したり新出単語を確認したりしていきます! 今日はこれまで!